スチールとは?素材の種類や特徴、ステンレスとの違いを分かりやすく解説|XMAKE

  • 2024/09/27

スチールは、その強度と耐久性から建築、自動車、家電など多岐にわたる分野で不可欠な素材です。リサイクルが容易で環境への配慮もされており、持続可能な産業の基盤を支えています。

スチールとは?

スチールの定義

スチールとは、鉄を主成分とし、炭素を0.02%から2.1%含む合金のことです。

 

スチールの製造プロセス

1. 原料準備:鉄鉱石、コークス、石灰石を用意します。

2. 高炉製鋼:原料を高炉に投入し、コークスを燃焼させて高温を生成。鉄鉱石が還元され、液体の生鉄が得られます。

3. 精錬:生鉄を転炉に移し、酸素を吹き込むことで炭素を減少させ、鋼に変換します。

4. 鋳造:溶融した鋼を型に流し込み、冷却して固化させます。

5. 圧延・加工:鋼材を圧延し、所定の形状やサイズに加工します。

スチール

スチールの種類

炭素鋼

炭素鋼は鉄と炭素を主成分とし、炭素含有量により次のように分類されます:

  • 低炭素鋼(0.05%〜0.25%):柔軟性が高く、加工しやすい。主に薄板や部品に使用。
  • 中炭素鋼(0.25%〜0.60%):強度と靭性のバランスが良く、自動車部品や機械部品に適している。
  • 高炭素鋼(0.60%〜2.1%):非常に硬く、刃物や工具に使用される。

合金鋼

合金鋼は炭素鋼に他の元素(クロム、ニッケル、モリブデンなど)を添加し、特性を向上させたものです。特徴として:

  • クロム鋼:耐摩耗性が高く、工具や機械部品に用いられる。
  • ニッケル鋼:耐衝撃性に優れ、自動車や航空機の部品に適している。

ステンレス鋼

ステンレス鋼は鉄、炭素に加え、10.5%以上のクロムを含み、耐腐食性に優れています。主な種類は:

  • オーステナイト系:耐食性が高く、加工性も良好。厨房機器や医療器具に使用。
  • フェライト系:強度と耐腐食性を持ち、主に自動車のエキゾーストシステムに使用。
  • マルテンサイト系:硬く、刃物や工具に用いられる。

ステンレス製品

各種類一覧表:

特性 炭素鋼 合金鋼 ステンレス鋼
主成分 鉄と炭素 鉄、炭素、その他の合金元素 鉄、炭素、クロム、ニッケル
強度 高い 非常に高い 中程度から高い
耐食性 低い 中程度 高い
加工性 良好 良好 難しい(特に硬いもの)
用途 建築、製造、一般的な機械 特殊な機械部品、工具 食品加工、医療機器、建築
価格 安価 中程度 高価
熱処理 可能 可能 可能

 

スチールの特徴

 

強度と耐久性: スチールは高い引張強度を持ち、圧力や衝撃に対する耐性が強いです。このため、構造材や機械部品に広く使用されます。

加工性: 様々な加工方法に適しており、切削、溶接、曲げ、プレスなど多様な形状に成形できます。これにより、複雑な部品製造が可能です。

コスト: 比較的安価で入手しやすく、大量生産に向いているため、経済的なメリットがあります。

電導性: 良好な電導性を持ち、電気機器の部品としても利用されます。

耐熱性: 一部のスチールは高温に耐える特性を持ち、炉やエンジン部品などの用途に適しています。

スチールが加工されてる

 

ステンレス鋼との違い

1.化学成分の違い

スチール: 主に鉄と炭素から成り、炭素の含有量によって特性が変わります。
ステンレス鋼: 鉄に一定量のクロム(通常10.5%以上)を加えた合金で、耐食性が向上しています。

2.耐腐食性の違い

スチール: 腐食しやすく、特に湿気や塩分のある環境では錆びやすいです。
ステンレス鋼: クロムが酸化皮膜を形成し、腐食に対して強いです。

3.用途の違い

スチール: 建築、製造、機械部品など幅広い用途で使用されます。
ステンレス鋼: 食品加工、医療機器、建材など、耐食性が求められる用途に使われます。

関連記事:SUS304の特徴と用途を解説:ステンレス鋼SUS316やSUS430との比較

スチールの用途

建設業:

構造材: 高層ビルや橋、ダムなどの耐荷重を支えるための鉄骨として使用されます。スチールフレームは軽量で強度が高く、設計の自由度も高いです。
建築用パネル: 外壁や内装に用いられるパネルやトラス構造など、建物の強度と美観を兼ね備えた製品として利用されます。

自動車産業:

シャシーとボディ: 自動車の骨格を構成し、強度と安全性を提供します。特に衝撃吸収性能が求められる部分に使われます。
部品製造: エンジン部品、サスペンション、ホイールなど、様々な部品にも使用され、耐久性が重要です。

製造業:

機械部品: ギアやシャフト、ベアリングなど、高い耐摩耗性と強度が求められる部品に多く用いられます。
工具: 切削工具や測定器具など、精密性が必要な製品にもスチールが利用されます。

家庭用品:

キッチン器具: 包丁や鍋、フライパンなど、耐久性と衛生面で優れた特性が求められる製品に使われます。
家具: スチール製のテーブルや椅子は、デザイン性と強度を兼ね備えたものが多く存在します。

エネルギー:

パイプライン: 石油やガスの輸送に用いるパイプラインやタンクは、耐圧性や耐腐食性が求められます。
発電設備: 発電所のボイラーやタービンの部品としても使用され、耐熱性が重要です。

航空宇宙:

航空機部品: 軽量で高強度なスチール合金は、航空機の構造部品やエンジン部品に使用されます。

スチールの原料

 

まとめ

スチールは鉄と炭素を主成分とする合金で、高い強度や加工性が特徴です。建設や製造業など多様な用途に使用され、耐久性が求められます。一方、ステンレス鋼はクロムを含み、耐食性に優れています。これらの違いを理解した上で、適切な素材を選びましょう。

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