「旋盤」は生産現場でよく登場する工作機械ですよね。
旋盤は何種類があるの?どんな旋盤はうちの工場に最適か…というお悩みがありますか?
そこでこの記事は、旋盤の種類と違いなどの基礎知識をイラストに合わせて解説し、おすすめの選び方を紹介します。
そもそも旋盤とは何でしょうか?
旋盤とは、加工物を回転させながら切削工具を当てて削ることで、円筒形の部品を加工する工作機械の一種です。
旋盤は金属加工、木材加工、プラスチック加工などに使用され、シャフト、軸、ねじ、ボルトなどの精密な円形部品を製造するために広く使用されます。
旋盤の種類をご紹介
旋盤にはさまざまな種類があり、加工する素材、部品の形状、精度、数量に応じて使い分けられます。ここでは、特に注目すべき4つのをご紹介します。
CNC旋盤
コンピューター数値制御(CNC)技術を用いた旋盤で、高精度かつ複雑な加工を自動で行います。
プログラムによる工具の動きを制御し、再現性が高く、短時間での大量生産が可能になることが特徴です。
コンピューターを使用することでプログラムの入力・修正が簡便で、複雑な形状の部品を高精度で大量生産する必要がある場合や、短納期での試作品作成に最適です。
自動車部品、航空機部品、電子機器の精密部品など多岐にわたり、金属やプラスチックなどさまざまな素材が加工できます。
NC旋盤
プログラムに従って自動で加工工程を行う旋盤機械で、自動化と精密加工を実現する特徴を持っています。
主に大量生産や反復作業に使用され、自動車部品や汎用部品の製造に使われています。
初期の数値制御方式で、制御がやや手動に近く、パンチカードなどを使用することが多かった。
汎用旋盤
手動操作で幅広い加工が可能な旋盤として、設定や調整が容易で、多様な部品を加工できる柔軟性があります。
作業者の技術への依存度が高いので、精密な形状から単純な形状まで対応が可能です。
少量生産やカスタム部品の製作、修理作業などに最適で、初心者からプロまで幅広く利用されています。
タレット旋盤
複数の工具を装備したタレットを備えた旋盤で、工具交換の手間が少なくて、生産性の向上につながります。
NC制御によって複雑な形状の部品加工が可能ですし、タレットに様々な工具を取り付けられるため、旋削、穴あけ、ねじ切りなど多様な形状が加工できます。
自動車部品、家電、医療機器などの精密製品の加工におけるよく使われています。
各旋盤の違い一覧
項目 | CNC旋盤 | NC旋盤 | 汎用旋盤 | タレット旋盤 |
制御方式 | コンピューター制御 | 数値制御 | 手動/油圧制御 | 数値制御 |
加工精度 | 高精度 | 中精度 | 低精度 | 高精度 |
加工複雑度 | 高度な複雑形状 | 比較的単純な形状 | 単純な形状 | 高度な複雑形状 |
生産性 | 高生産性 | 中生産性 | 低生産性 | 高生産性 |
適用分野 | 航空機、医療機器など | 自動車部品、汎用部品など | 修理、試作など | 家電、精密機器など |
価格帯 | 高価 | 中価格 | 低価格 | 中高価格 |
設置スペース | 大型 | 中型 | 小型 | 中型 |
旋盤の構造と名称、その機能を解説!
1.ベッド
旋盤全体を支える基盤部分で、他のすべての部品が取り付けられます。剛性が高く、振動を抑える役割を果たします。
2.制御装置
CNCプログラムによって動作を制御する装置です。操作パネルから加工プログラムを入力して、旋盤の各軸の動きを精密に制御し、加工の開始・停止を行います。
複雑な加工を自動で実行でき、プログラムの変更により異なる作業を柔軟に行う可能が特徴です。
また、エラー検出や自動補正機能を備え、加工の精度と効率を向上させます。
制御装置は、操作者の負担を軽減し、一貫した品質の製品を生産するために不可欠な要素です。
3.チャック
ワークピースを確実に固定するための装置です。
通常、3つまたは4つの爪でワークをしっかりと掴み、回転させながら加工を行います。チャックはさまざまな形状のワークピースに対応可能で、精度の高い加工が求められる場面で重要な役割を果たします。自動調整機能を持つチャックも存在し、生産性を向上させます。
4.心押し台
加工中にワークピースを支持するための重要な部品です。
特に長いワークピースや、精度が求められる加工では、中心を固定することで、たわみを防ぎ、安定した旋削が可能となります。心押し台は工具の交換が容易で、多様な加工に対応できます。
5.刃物台/ツールポスト
切削工具を固定し、加工中に工具を正確な位置に保持する部分です。
特徴として、工具の交換が容易で、多工具を取り付けられるタイプもあります。
刃物台は、工具の精密な位置調整を可能にし、加工の精度を向上させる重要な機能を持ちます。
6.主軸
ワークピースを回転させるための中心的な部品です。
主軸は高い精度と剛性を持ち、安定した回転を提供することで、精密な加工を可能にします。
また、主軸にはチャックが取り付けられ、ワークピースをしっかりと固定します。回転速度の調整が可能で、様々な材料や加工条件に対応できるのも特徴です。
7.その他:バイト部
旋盤で使用される切削工具であり、ワークピースの表面を削り取るために使用されます。
バイトは硬度が高く、耐摩耗性に優れた材料で作られており、主に超硬合金や高速鋼が使用されます。
様々な形状があり、外径加工、内径加工、ねじ切り、溝入れなど、特定の加工用途に応じて選ばれるのが特徴です。
ご用途に合わせた工作機械を選ぶ
加工部品のサイズに合っているのか?
小物加工には小型の卓上旋盤や精密旋盤が適し、高精度な加工が可能です。中物加工には中型の汎用旋盤やNC旋盤が適し、加工能力と精度のバランスが取れています。大物加工には大型の重切削旋盤やCNC旋盤が適し、大型の加工物に対応できる十分な加工能力と高出力、剛性を備えています。
加工対象のサイズに合わせて、旋盤の寸法、スピンドル能力、テーブル寸法などを選択することで、効率的で高精度な加工が可能になります。
どのくらいの部品精度が必要なのか?
高精度な加工が必要な場合は、NC旋盤やCNC旋盤を選ぶのが適切です。これらの旋盤は、コンピューターによる高度な制御が可能で、ミクロンオーダーの精度を実現できます。
一方、粗加工や簡単な加工であれば、汎用旋盤でも十分な精度が得られます。必要な精度に合わせて、適切な機能と性能を持つ旋盤を選ぶことが基本です。
目的形状の特徴は?
単純な円筒加工には汎用旋盤が、テーパ加工やねじ加工にはテーパ加工機能やねじ切り機能を持つのが適しています。
段付き加工やより複雑な形状加工には、タレット旋盤やNC旋盤、CNC旋盤が適しており、高精度な加工が可能です。
また、加工形状によっては、特定のドリルや治具が必要になることもあります。これにより、精度や仕上げのクオリティを向上させることが可能です。
単純な円筒加工、テーパ加工、段付き加工など加工目的を想定すると選びやすいかもしれません。
工業用?それぞれの生産性?
工業用量産の場合、自動送り機構や自動工具交換機能など、生産性向上機能を持つ旋盤を選ぶことで、作業効率を大幅に向上させることが可能です。
例えば、自動送り機構は複雑な加工を短時間で行えるため、手動操作に比べて大幅な時間短縮が期待できます。
また、自動工具交換機能を搭載した旋盤では、加工中の工具交換が迅速に行えるため、ダウンタイムを最小限に抑えることができるのです。
おすすめの旋盤加工機メーカーと機種
1.Haas Automation
おすすめ機種: ST 10Y
特徴: Haas Automationは、高品質なCNC旋盤で広く知られています。
ST 10Yは特に、産業用として非常に優れた柔軟性と剛性を持ち、高温安定性が高い点が特徴です。大量生産に適しており、コストパフォーマンスも優れています。
画像出典:https://www.haascnc.com/machines/lathes/st/models/y-axis/st-10y.html
2.DMG Mori
おすすめ機種: NLX 2500 シリーズ
特徴: DMG Moriは、先進技術と精密なエンジニアリングで有名なメーカーです。
NLX 2500シリーズは、高い精度と信頼性を提供し、複雑な加工にも対応できるため、多くの産業分野で使用されています。ただし、価格はやや高めです。
画像出典:https://en.dmgmori.com/products/machines/turning/universal-turning/nlx/nlx-2500
3.SYIL CNC Machines
おすすめ機種: SYIL X7
特徴: SYILは、コストパフォーマンスに優れたCNC旋盤を提供しており、小規模な工場や個人事業主にも最適です。
SYIL X7は、使いやすいインターフェースと精密な加工が特徴で、初めて導入する方にもおすすめです。
まとめ
旋盤には主に「CNC旋盤」「NC旋盤」「汎用旋盤」「タレット旋盤」の4種類があります。CNC旋盤は自動化で高精度な加工が可能で、NC旋盤は自動制御で簡易なプログラム操作できます。汎用旋盤は手動操作で多用途に対応し、タレット旋盤は工具交換が迅速で効率的です。加工する部品の種類や精度要求、操作の自動化の必要性を考慮して選びましょう。
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