アルミニウムの特性と用途|アルミニウム合金の種類に合わせて解説|XMAKE

  • 2024/08/29

アルミニウムは軽量で強度が高く、耐食性に優れた素材として広く利用されています。本記事では、アルミニウムの基本特性や多様な用途に加え、アルミニウム合金の種類についても詳しく解説します。素材の選定や活用方法を知りたい方に役立つ情報を提供します。

アルミニウム製品

 

アルミニウムとは?

アルミニウムは、軽量で高い耐腐食性と優れた加工性を持つ金属です。化学記号は「Al」、原子番号は13です。自然界に豊富に存在し、主にボーキサイトから精製されます。

 

アルミニウム合金

アルミニウムの基本的な特性

軽量性

アルミニウムの比重は約2.7g/cm³だけで、鉄の約3分の1しかありません。軽量性は、輸送コストの削減や燃費の向上、運動性能の改善に寄与します。

耐腐食性

アルミニウムの表面には自然に酸化皮膜が形成されます。この皮膜は非常に緻密で、アルミニウムを大気、水、酸、アルカリなどから保護します。そのため、アルミニウムは優れた耐食性を持っています。

電気・熱伝導性

アルミニウムは銅に次いで電気・熱伝導率が高い金属です。電線や熱交換器などに広く使用されています。

加工性

アルミニウムは非常に加工しやすい金属です。冷間加工、熱間加工、機械加工など、さまざまな加工方法に対応でき、複雑な形状や精密な部品を効率的に製造できます。溶接、切削、鋳造、圧延などの加工方法が一般的に使用されます。

非磁性

アルミニウムは非磁性の金属素材です。電磁波の遮蔽材料として使用されます。

再生性

アルミニウムはリサイクルが容易で、再生アルミニウムの製造にはプライマリーアルミニウムの製造に比べて、わずか5%のエネルギーしか必要ありません。

反射率

アルミニウムは高い光の反射率を持ち、特に可視光線や赤外線の反射に優れています。この特性は、照明機器や反射鏡、断熱材などに利用されます。

強度と硬度

アルミニウム単体の強度は比較的低いですが、合金化することで強度や硬度を大幅に向上させることができます。また、熱処理によって強度を高めることも可能です。

アルミニウムパイプ

アルミニウム合金の種類と特徴

純アルミ (1000系列)

純アルミは、高い耐腐食性と優れた加工性が特徴です。この合金は強度が比較的低いものの、非常に軽量であり、電気伝導性が高いのがメリットです。また、加工しやすく、柔軟性があります。そのため、主に電子機器の部品、包装材、建築材料など幅広い分野に使用され、耐腐食性の必要な用途に適しています。特に、環境にさらされる部品や軽量化が求められる製品に最適です。

アルミ-銅合金 (2000系列)

アルミ-銅合金は、高い強度と優れた機械的特性を持つ合金です。銅の添加により、耐摩耗性と強度が向上しますが、耐腐食性はやや低下します。主に航空機の構造部品や高負荷がかかる自動車部品に使用されるほか、高温環境でも性能を発揮します。加工性も良好で、強度が求められる用途に最適です。

アルミ-マンガン合金 (3000系列)

アルミ-マンガン合金は、優れた耐腐食性と良好な成形性が特徴です。マンガンの添加により、強度と耐摩耗性が向上し、加工がしやすくなります。中程度の強度を持ち、耐久性が高いため、食品缶、建材、装飾品など多様な用途に利用されます。特に、耐食性が求められる環境や、柔軟性が必要な部品に適しています。

アルミ-シリコン合金 (4000系列)

アルミ-シリコン合金は、高い耐摩耗性と低膨張率が特徴です。シリコンの添加により、アルミニウムの強度が増し、熱伝導性が向上します。この合金は、高温での安定性が良好で、エンジン部品や熱交換器、鋳造部品などに使用されます。さらに、加工性も良く、耐摩耗性が要求される用途に最適です。

アルミ-亜鉛合金 (7000系列)

アルミ-亜鉛合金(7000系列)は、高い強度と優れた機械的特性を持ちます。亜鉛の添加により、アルミニウムの強度が大幅に向上し、航空機や高性能自動車の構造部品に最適です。ただし、耐腐食性はやや低く、適切な防食処理が必要です。高負荷がかかる用途での使用に適しており、強度と軽量化の両立が求められる場面で使われます。

切屑

アルミニウムのさまざまな用途

航空宇宙分野

機体構造部品
アルミニウムは、航空機の機体構造部品、例えば翼や胴体に使用されます。軽量で高い強度を持ち、耐腐食性も高いため、航空機の総重量を減少させつつ、高い耐久性と構造的な強度を提供します。これにより、燃費効率の向上や飛行性能の改善が図られます。

エンジン部品
航空機エンジンの部品にもアルミニウムが使用されます。特に、エンジンケースやタービンブレードなどの部品に利用されることが多いです。アルミニウムの軽量性と優れた熱伝導性により、エンジンの性能向上や燃費改善、冷却効率の向上が実現されます。

 

自動車分野

ボディパネル
軽量化と耐腐食性の向上を目的に、アルミニウム製のボディパネルがよく使われます。これにより車両の総重量が減少し、燃費の向上や走行性能の改善が図られます。

エンジン部品
エンジンブロックやシリンダーヘッド、ピストンなどにアルミニウムが使用されます。アルミニウムの軽量性により、エンジンの重さを減らし、燃費効率の向上とエンジン性能の改善が実現します。

ホイール
アルミニウム合金製のホイールは、軽量で強度が高く、耐久性にも優れています。これにより、操縦安定性が向上し、ブレーキ性能や加速性能も改善されます。

 

医療器具

医療機器のケースやハウジング
アルミニウムは、診断機器や治療機器のケースやハウジングに使用されます。軽量で強度が高く、耐腐食性に優れたアルミニウムは、機器の耐久性を向上させ、持ち運びや操作が容易になります。また、熱伝導性が良いため、機器内部の熱管理にも役立ちます。

外科用器具
アルミニウムは、手術用の外科器具や装置に使用されることがあります。特に、軽量で耐久性のある器具や、精密な加工が要求される部品に適しています。例えば、外科用のクランプ、ハンドル、ミラーなどがアルミニウムで作られることがあります。

 

船舶産業

船体構造部品
アルミニウムは船体の構造部品に広く使用されます。軽量で耐腐食性が高いため、船体の全体重量を削減し、燃費の改善や速度の向上に貢献します。さらに、耐腐食性が高いアルミニウムは、塩水環境においても長期間の使用に耐えることができます。

デッキ部品
船舶のデッキ部品、例えばデッキパネルやトリム部品にアルミニウムが使用されます。軽量でありながら強度が高く、耐腐食性も優れているため、デッキの耐久性が向上し、取り扱いやメンテナンスが容易になります。また、アルミニウムの加工性の良さにより、複雑なデザインや形状も実現できます。

航空宇宙産業のアルミ

アルミニウムの各種加工方法とその注意点

アルミニウムの加工方法

 

切削加工

切削加工は、アルミニウムの板やブロックから必要な形状やサイズに部品を作る方法です。主に旋盤加工、フライス加工、ドリル加工などが含まれます。アルミニウムの加工は比較的容易で、精密な部品や複雑な形状の製造に適しています。

 

押出加工

押出加工は、アルミニウムの合金を加熱し、押出機を使って型に押し出して成形する方法です。これにより、長尺の部材(例えば、アルミニウムのチューブ、プロファイル、フレームなど)が製造されます。押出加工は、断面形状が一定の部品を大量に生産するのに適しており、効率的な生産が可能です。

 

鋳造加工

鋳造加工は、溶かしたアルミニウムを型に流し込み、冷やして固化させる方法です。主に砂型鋳造、ダイカスト、圧縮鋳造などの技術が使用されます。鋳造加工は複雑な形状や大規模な部品の製造に適しており、高い強度と精度を持つ部品を生産することができます。ただし、鋳造後の仕上げや修正が必要な場合もあります。

CNC切削加工

 

アルミニウム加工における注意点

 

熱伝導性と熱膨張

アルミニウムは高い熱伝導性を持ち、加工中に熱が集中しやすいです。これにより、部品の変形や精度の低下が起こる可能性があります。加工時の温度管理が重要で、冷却や適切な切削条件の設定が必要です。また、熱膨張を考慮し、寸法の変化に対する対策を講じる必要があります。

 

加工時の切削条件

アルミニウムは比較的柔らかい金属ですが、適切な切削条件を設定しないと、工具の摩耗が早くなったり、表面仕上げが不良になることがあります。刃物の選定、切削速度、送り速度の調整が重要で、適切な潤滑や冷却剤の使用も推奨されます。特に、削りくずの処理にも注意が必要です。

 

酸化膜と腐食

アルミニウムの表面は酸化アルミニウムの膜で覆われており、これが加工中に削られると、表面が脆弱になることがあります。酸化膜は耐腐食性を持ちますが、加工後の表面が傷つくと、腐食の原因になる可能性があります。加工後には表面処理や保護コーティングを施すことで、耐腐食性を保つことが重要です。

 

応力と歪み

アルミニウムは加工中に応力がかかりやすく、これが変形や歪みの原因になることがあります。特に、切削や溶接の際には応力の分布に注意し、適切な加工手順を踏むことが求められます。応力を最小限に抑えるためには、適切なクランピングや支えの設置が有効です。

鋳造

 

まとめ

アルミニウムは軽量で耐腐食性が高く、加工性にも優れた金属です。特にアルミニウム合金は、用途に応じて多様な特性を発揮します。純アルミ(1000系列)は加工性が良く、食品缶や内装に。アルミ-銅合金(2000系列)は高強度で航空機部品に、アルミ-シリコン合金(4000系列)は耐摩耗性が高くエンジン部品に。アルミ-亜鉛合金(7000系列)は強度が抜群で自動車やスポーツ機器に利用されます。各合金の特性を理解し、適切な用途に活用しましょう。

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