PETGフィラメントとは?その特徴と用途をわかりやすく解説|3dプリンター造形材料 | XMAKE

  • 2024/08/21

PETGフィラメントは、3Dプリンター用素材として広く利用されているプラスチックです。強度と柔軟性を兼ね備え、耐熱性や耐薬品性に優れているため、多様な用途に対応できます。

本記事では、PETGフィラメントの特徴やメリット、具体的な活用方法について詳しく解説します。初心者から上級者まで、3Dプリントに興味がある方必見の内容です。

PETGフィラメント

PETGフィラメントの基本情報

PETGとは何か?

PETGは、3Dプリンターで使用される熱可塑性樹脂の一種です。PETGは「ポリエチレンテレフタレート・グリコール」(Polyethylene Terephthalate Glycol)の略で、PET(ポリエチレンテレフタレート)にグリコールを加えて改良された素材です。

PETG樹脂

PETGフィラメントはどうやって作られるのか?

PETGフィラメントは、PETにグリコールを加え、柔軟で耐衝撃性を持つように改質して製造されます。

まず、PETを合成し、グリコールを加えて化学的に改質します。これをペレット状にし、押出機で溶かして細長いフィラメント形状に成形します。

PETGフィラメント透明版

画像出典:https://anisoprint.com/

PETGフィラメントの特性

PETGフィラメントは、3Dプリンターで使用される熱可塑性樹脂の中で、耐久性と印刷しやすさを兼ね備えた素材として人気があります。以下に、PETGフィラメントのメリットとデメリットを解説します。

メリット

高い耐衝撃性

PETGは衝撃に強く、耐久性が高いため、壊れにくい部品を作るのに適しています。この特性は、機械的負荷がかかる部品や長期使用を前提とした製品に非常に有利です。

優れた化学耐性

多くの化学薬品、酸、アルカリに対して優れた耐性を持っています。これにより、化学薬品に触れる環境や腐食性の高い環境でも使用でき、食品や医療関連の用途に向いています。

透明性

PETGは透明性が高く、光の透過性に優れています。これにより、見た目を重視するプロジェクトや照明カバー、ディスプレイケースなどの透明な部品に最適です。

印刷のしやすさ

PETGは反りが少なく、プリント中のトラブルが少ないため、初心者でも扱いやすい素材です。ABSに比べて低温での印刷が可能で、特別な装置を必要とせずに高品質な結果が得られます。

柔軟性

適度な柔軟性があり、応力がかかっても割れにくいのが特徴です。曲げやねじれが必要な部品の製作にも適しています。

低吸湿性

PETGは湿気を吸収しにくく、保管や使用中に品質が劣化しにくいです。これにより、長期間にわたって安定したパフォーマンスを発揮します。

環境に優しい

PETGはリサイクルが可能で、環境に優しい素材です。再利用可能なPETを基にしているため、エコフレンドリーな選択肢としても評価されています。

PETG製品

デメリット

耐熱性の制限

PETGは最大80℃程度の温度にしか耐えられません。これにより、より高温にさらされる環境や機械部品には向かない場合があります。ABSやナイロンなどの他の素材の方が、極端な温度条件には適しています。

印刷時の糸引き

PETGは印刷中に糸引き(stringing)やオーズ(oozing)が発生しやすい素材です。これにより、仕上がりに細かな糸状の樹脂が残ることがあり、手間をかけて仕上げる必要があります。

表面仕上げの光沢

PETGは光沢のある仕上がりになるため、マットな質感や特定の表面仕上げを求めるプロジェクトには不向きです。光沢を抑えるためには、後処理が必要です。

接着性の問題

一部の塗料や接着剤との相性が悪く、塗装や接着が難しいことがあります。これにより、後加工が必要な場合、素材の選定に注意が必要です。

剛性が低い

他のプラスチック素材に比べて剛性がやや低く、非常に高い剛性が求められる部品には向きません。特に高荷重がかかる構造部品には、より硬度の高い素材が必要です。

PETGフィラメントのデメリット

PETGフィラメントの用途

プロトタイピング

製品デザイン: PETGの透明性や表面の美しさから、消費者向け製品のプロトタイプ作成に適しています。見た目を重視したデザイン検討段階で使用されることが多いです。
機能プロトタイプ: PETGの耐衝撃性や耐久性を生かして、実際の使用環境に近い条件での試作部品の作成に使用されます。

機能部品

耐衝撃が必要な部品: PETGの高い耐衝撃性と柔軟性により、振動や衝撃に耐える必要のある部品に使用されます。例として、保護カバー、バンパー、フレームなどがあります。
高耐久性が求められる部品: 長期的に使用される部品や繰り返し使用に耐える部品に適しています。耐薬品性も高いため、産業用部品や機械部品にも使用されます。

医療および食品関連用途

医療機器のプロトタイプ: PETGの化学的安定性と透明性により、医療機器のプロトタイプや試験装置の製作に使用されます。無菌性が求められる用途でも使用されています。
食品容器: PETGは食品に安全とされる材料で、食品関連の容器やディスペンサーに使用されます。また、化学的耐性から、洗浄しやすく長期間使用可能です。

ディスプレイおよび照明カバー

透明な部品: PETGの高い透明性と光の透過性により、ディスプレイケース、ショーケース、照明カバーなどの透明な部品に最適です。展示用モデルや店舗ディスプレイなどにも使用されています。
看板・サイン: 屋外用の看板やサインにも使用されます。耐候性があり、長期間にわたり美しい見た目を保てるためです。

家庭用品

カスタム部品やツール: PETGは家庭用3Dプリントでの使用が容易なため、カスタムツール、ホルダー、家具パーツなど、家庭内での実用部品の製作に利用されています。耐久性が求められるパーツに適しています。

自動車および航空宇宙産業

試作および一部実用部品: 耐衝撃性と耐薬品性が求められる自動車や航空機の一部パーツに使用されます。特に軽量で耐久性のあるパーツを迅速に製作する際に有用です。

電子機器のケースやカバー

電子デバイスの保護: PETGの耐衝撃性と透明性により、電子機器の保護ケースやカバーに最適です。カスタムケースや小型の保護部品を迅速に製作する際に利用されます。

PETG樹脂の造形品

PETG製品のメンテナンス

PETG製品のメンテナンスを適切に行うことで、その耐久性や美観を長期間維持することができます。以下に、PETG製品のメンテナンス方法を詳しく説明します。

清掃

定期的な清掃: PETG製品の表面には、ほこりや汚れがたまりやすいです。柔らかい布やスポンジを使って、温かい石鹸水で拭き取ることで、表面の汚れを取り除けます。強力な洗剤やアルコール、アセトンなどの溶剤は使用しないでください。これらはPETGの表面を劣化させる可能性があります。
繊細な表面の保護: PETGは傷がつきやすい素材です。清掃時には、研磨性のあるスポンジや硬いブラシは避け、柔らかい素材を使用してください。また、清掃後は水分を完全に拭き取り、乾燥させることが大切です。

温度管理

適切な温度環境で使用: PETG製品は耐熱性があるものの、長時間高温にさらされると変形する可能性があります。特に、80℃を超える温度環境では形状が崩れる恐れがあるため、直射日光やヒーターの近くに置かないよう注意してください。

化学薬品への対応

化学薬品からの保護: PETGは多くの化学薬品に対して耐性がありますが、特定の強力な溶剤やアルカリ性の化学薬品には弱いことがあります。PETG製品が化学薬品にさらされる可能性がある場合は、事前にその薬品がPETGに適しているかを確認してください。

機械的ストレスの管理

負荷を避ける: PETG製品は高い耐衝撃性を持ちますが、過度な負荷や応力がかかると、ひび割れや変形が生じることがあります。特に、長期間にわたる機械的ストレスには注意し、負荷を分散させる工夫をしましょう。
保管時の配慮: 重い物を上に載せない、適切な支えを用意するなどして、形状を維持できるように工夫することが重要です。

表面仕上げの維持

光沢の維持: PETG製品の光沢を維持するためには、摩擦や強い衝撃を避けることが必要です。また、時間が経つにつれて光沢が失われる場合があります。その場合は、軽い研磨剤を使用して表面を磨くことで、光沢を回復させることができますが、慎重に行う必要があります。

修理とメンテナンス

小さなひび割れや傷の修理: 小さなひび割れや表面の傷は、3Dペンや接着剤を使用して修理することが可能です。修理する際には、同じPETGフィラメントや、相性の良い接着剤を使用することが推奨されます。
割れた部分の補修: 大きな破損が生じた場合は、破損部分を清掃し、適切な接着剤で接合します。接着後は、しっかりと固定し、乾燥させることが大切です。

定期的な点検

状態の確認: 定期的にPETG製品の状態を確認し、早期に問題を発見することが重要です。特に、負荷がかかる部分や頻繁に使用する部位は、変形や劣化がないかをチェックします。

PETG

まとめ

PETGフィラメントは、3Dプリンターでよく使用される素材です。高い耐衝撃性、優れた透明性、化学的耐性を兼ね備え、プロトタイピングから実用部品まで幅広い用途に対応します。扱いやすさも特長で、初心者にも最適です。

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